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​N邸

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屋根裏物置がある木造平屋建ての一戸建て住宅です。

屋根裏物置に上がるためには、天井収納式のはしご状の階段がDKに備え

付けられているのですが、簡易なもので不安定なことから、安全に昇降

できるよう「階段」を取り付けたいというご相談がありました。

 

「屋根裏収納」というのは、文字通り屋根と天井との間にできた空間を

利用した収納スペースです。デッドスペースを利用した収納ということで、

住宅ではよく設置されていますが、この屋根裏収納が成立するには、

建築基準法で

・床から天井までの高さが140cm未満であること

・面積が下の階の2分の1までであること

上記の条件を満たしていれば、屋根裏収納部分は「階」 としてみなされず

床面積にも算入しなくてよいとされており、この建物はこの条件については

問題ありませんでした。ところが、この地域の住宅にはさらにもう一つ条件

が決められていました。それは「階段は固定してはいけない」というもので

、今回のご要望の通りにちゃんとした階段を設置してしまうと、建物は

「2階建て」となってしまい、「2階建て」 に向けて決められた建築基準法

の内容に合致させないと、 違反建築物になってしまうという問題が発生

します。そこで、階段を固定で設置せず、移動できる「家具」を階段として

使うことにしました。まず、階段の位置ですが、1階の間取りと屋根裏の

状況に加え、天井裏の構造材の位置も考慮して、屋根裏に上がるのに最も

支障のない位置に決めました。それから、屋根裏に上がるために必要な段数

を割出し、家具の形と大きさを決めていきました。当初棚板は可動式で考え

ていましたが、かなりボリュームのある家具になるので箱の強度確保のため

に、依頼主様と相談の上で棚板は固定することにしました。

上りやすい階段を希望されたのには、今後の自分たちの高齢化のことを考え

られてのことでしたので、落下防止の配慮として手すりを2本取り付けて

います。家具は手すりも含め、全て杉の無垢材で製作し、「キヌカ」という

米ぬかを原料としたワックスを塗りました。階段1段分の小さな箱は、

基本は正面から小物を収納する形 ですが、隣の部屋との間の扉をつぶす形

で階段を設置したので、扉を開けると隣の部屋からも棚に物を入れられる

ことから、一部は隣の部屋から利用する掛け軸の収納用としています。

廻り階段の最下段は奥行きが深くなることから引き出しを組み込むなど、

随所に工夫を施しました。製作した家具職人は「人が乗って使う家具は

初めてなので」と、強度面でいろいろ配慮してくれたようです。

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